CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.8.29(土)集計時点】

CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.8.29(土)集計時点】

1.CMEドル円オプション市場の現在の状況

CME Japanese Yen OptionsのVOI(Volume/Open Interest)データによると、全限月合計のOpen Interestは186,923枚(Call 97,649枚/Put 89,274枚)でした。前日ファイルとの比較では総OIが1,549枚減少していますが、これは主に週次金曜オプション(AUG26限・第4週)が満期消化した影響で、実際に取引が最も活発だったのは直近限月のSEP26(9月限)です。SEP26限だけを見るとOIは4,626枚増加しており、市場の関心が9月限に集中していることがうかがえます。

参考までに、外部の市場データによる分析時点近辺のUSD/JPYは160.08円前後(2026年8月28日終値ベース)でした。

2.満期別のCall / Put建玉

限月 Call OI Put OI Total OI Put/Call比
SEP 26 38,675 40,125 78,800 1.04
DEC 26 20,293 16,135 36,428 0.80
OCT 26 13,262 17,664 30,926 1.33
NOV 26 6,923 5,483 12,406 0.79
MAR 27 2,322 1,240 3,562 0.53
JAN 27 1,756 479 2,235 0.27

OCT26限がPut/Call比1.33と最もPut偏重、逆にJAN27限は0.27とCall偏重です。ただし限月ごとに絶対的なOI規模が大きく異なるため、単純比較には注意が必要です。

3.主要Monthly Optionsの詳細分析

最大限月であるSEP26では、最大Call OIが156.25円(5,230枚、前日比+2枚)、最大Put OIが158.73円(5,329枚、前日比−1枚)でした。この2つのStrikeがSEP26限のオプション市場における事実上の中心軸になっています。次点のDEC26限では、最大Call OIが125.00円という現在値から大きく乖離した水準に6,048枚存在していますが、前日比の変化はゼロで直近の取引動意は見られません。長期保有目的の大口ポジションの残存とみられ、短期的な値動きの目安としての意味合いは薄いと考えられます。

4.Weekly Optionsの特徴

週次オプションではWeekly Friday Option Week2(SEP26限)のOIが4,438枚と最大で、他の週次シリーズよりも一段大きな規模を持っています。特筆すべきは、Weekly Friday Option Week4(AUG26限)のOIが前日ファイルの10,804枚から今回ファイルでゼロに消滅していた点です。これは8月最終金曜(8/28)の限月到来による自然な満期消化であり、新規の需給変化を示すものではありません。

5.Strike別の最大建玉

Strike(USD/JPY) Call OI Put OI Total OI
158.73 5,251 12,252 17,503
161.29 4,334 9,479 13,813
156.25 10,434 2,710 13,144
153.85 10,595 869 11,464
160.00 1,631 9,061 10,692

全限月を横断して集計すると、158.73円が突出した最大建玉水準であることが分かります。加えて156.25円・153.85円には巨大なCall OIが存在しますが、これらは現在値160.08円を下回っており、多くがすでにITM(イン・ザ・マネー)化している点に留意が必要です。

6.OI Changeから見えるポジション変化

CME公表のOI Changeと、前日ファイルとの差分(File-to-File OI Change)をSEP26限で突合したところ、両者は完全に一致しました。最も顕著な動きは159.36円で、Call・Put双方に前日から新規の建玉が積み上がっています(Put +2,595枚、Call +2,050枚)。次いで160.00円のPutが+113枚、161.29円のPutが+97枚、160.64円のPutが+71枚と続きます。逆に162.60円のPutは−133枚、157.48円のCallは−85枚とやや減少しました。増加が新規の買いポジションによるものか、既存ポジションの解消によるものかは、このデータだけでは断定できません。

7.ドル円の重要オプションゾーン

Put OIは158.73円から163.93円にかけて広く分布し、特に158.73円・160.00円・161.29円に集中しています。一方Call OIは152.67円から157.48円にかけて厚みがあり、現在値の下方に位置しています。両者が重なる156.25円から161.29円のレンジが、全体としてOIが最も厚いゾーンです。前日比での新規積み上がりは158.73円から160.64円に集中しており、このゾーンは足元で最も動意が見られた価格帯といえます。

8.Gamma分析

このCME公開VOIデータにはImplied Volatility・正確な満期日・金利データが含まれていません。適切な代替モデルを選択できる材料がないため、以下のGammaはBlack-76モデルによる仮定条件下のモデル推定値として算出しています。SEP26限の満期はCMEの規則(四半期限月は先物と同じく第3水曜日の2営業日前に取引終了)から2026年9月14日と推定し、分析時点からの残存期間を約17日(T=17/365年)として計算しました。フォワードはスポット160.08円で近似し、IV 8%・10%・12%の3シナリオで比較しています。

Strike(USD/JPY) Gamma@8% Gamma@10% Gamma@12%
157.48 0.091 0.086 0.078
158.73 0.127 0.106 0.091
159.36 0.139 0.113 0.095
160.00 0.144 0.115 0.096
161.29 0.132 0.109 0.093

いずれのIVシナリオでも、Gamma係数はスポットに最も近い158.73円から160.00円にかけて最大化しています。これはアット・ザ・マネー付近でGammaが最大になるという一般的な性質と整合的です。

9.GEX分析

Gamma分析と同様、適切な代替モデルを選択できないため、GEX分析もBlack-76モデルによる仮定条件下のモデル推定値として算出しています。この前提のもと、Gamma×Open Interestを基本に、Callを+、Putを−とする分析上の仮定でSigned GEXを算出しました(IV10%シナリオ、相対値であり実際のドル建てエクスポージャーではありません)。

Strike(USD/JPY) Gross GEX(相対値) Signed GEX(相対値)
156.25 349 +286
157.48 496 +246
158.73 795 −340
160.00 718 −490
161.94 339 −328

Signed GEXの符号はあくまで分析上の仮定であり、実際のディーラーがロングガンマかショートガンマかを示すものではありません。数値上は158.73円と160.00円でPut側の比重が大きく出ていますが、これはこの2水準にPut OIが集中していることの反映であり、市場参加者の実際のポジション構造を断定するものではない点にご留意ください。

10.現在のドル円市場で意識されやすいStrike

  1. 158.73円(Total OI 17,503枚、現在値から0.84%)
  2. 161.29円(Total OI 13,813枚、現在値から0.76%)
  3. 156.25円(Total OI 13,144枚、現在値から2.39%)
  4. 153.85円(Total OI 11,464枚、現在値から3.89%)
  5. 157.48円(Total OI 10,959枚、現在値から1.62%)
  6. 160.00円(Total OI 10,692枚、現在値から0.05%)
  7. 163.93円(Total OI 9,497枚、現在値から2.41%)
  8. 152.67円(Total OI 7,362枚、現在値から4.63%)
  9. 155.04円(Total OI 7,106枚、現在値から3.15%)
  10. 166.67円(Total OI 6,366枚、現在値から4.12%)

11.Resistance / Support候補

上方向のCall OIは161.29円で4,334枚にとどまり、伝統的な「コールの壁」と呼べるほどの厚みは今回のデータからは確認できませんでした。むしろ161.29円・163.93円にはPut OIの方が厚く積み上がっており、単純な上値抵抗の候補として扱うことはできません。下方向では156.25円・153.85円に大きなCall OIがありますが、これらはすでに現在値を下回るITM水準であるため、これから新規に発生する支持帯というより、既存の残存ポジションと捉えるのが妥当です。あえて候補を挙げるなら、現在値に最も近い160.00円のPut集中(9,061枚)が、意識されやすい価格帯の候補といえます。ただし巨大OI=必ずその価格で反発・反落するという意味ではありません。

12.今後注目すべきStrike

今回のデータから、158.73円・160.00円・161.29円の3水準を継続的に追跡すべき候補として挙げます。いずれも現在値に近く、複数限月・複数シリーズにまたがって建玉が存在し、Black-76モデル上のGammaも相対的に高い水準です。加えて159.36円は今回1日で最大の新規建玉増加が見られた水準であり、次回データでの継続性を確認する価値があります。

13.オプション建玉を相場分析に利用する際の注意点

本分析で用いたGamma・GEXはIV・正確な満期日・金利が実データとして取得できないため、いずれもBlack-76モデルによる仮定条件下のモデル推定値です。またOpen Interestの増減だけでは、それが新規の買いによるものか売りによるものか、あるいはポジション解消によるものかを判別できません。CMEの公開データはディーラーと顧客の売買方向を区別しないため、Dealer Long Gamma/Short Gammaといった断定的な表現は避けるべきです。今回は前日ファイルとの1日分の比較にとどまっており、継続的な傾向を確認するには複数日のデータ蓄積が必要です。

14.まとめ

2026年8月29日時点のCME Japanese Yen Optionsデータからは、SEP26限を中心に158.73円・160.00円・161.29円という現在値近辺の3水準に建玉が厚く積み上がっている構造が確認できました。特に159.36円では前日から突出した新規建玉の増加が見られ、足元で最も動意のあった価格帯です。一方で156.25円・153.85円の大きなCall OIは、現在値を下回るすでにITM化した残存ポジションであり、新たな支持帯としての解釈には慎重さが求められます。今後はこのCMEデータを継続的に取得し、特に158.73円・160.00円・161.29円という今回浮かび上がった重要Strikeが、前日比・前週比でどのように変化していくのかを追跡することで、ドル円オプション市場のポジション構造の変化を継続的に分析していきます。

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