原油相場が乱高下、戦争終結示唆と中東緊張が交錯

原油相場が乱高下、戦争終結示唆と中東緊張が交錯

 31日の原油市場は、急騰と下落が交錯する不安定な動きとなりました。クウェートのタンカー攻撃による供給不安で価格が押し上げられた一方、トランプ米大統領がホルムズ海峡の封鎖解除を待たずに軍事作戦を終える可能性に言及したと報じられたことで、相場は下げに転じています。

 こうした値動きの背景には、中東情勢の緊迫化があります。重要な輸送路であるホルムズ海峡が実質的に機能不全に陥っていることで、原油や天然ガス、ディーゼル燃料の供給が滞り、世界市場では供給不足への懸念が強まっています。紛争はすでに5週目に入り、米国は地域への軍事的関与を拡大している状況です。

 さらに、トランプ米大統領はエネルギー施設やインフラへの攻撃を改めて警告しており、事態の沈静化には至っていません。30日のソーシャルメディア投稿では、海峡が再開されない場合、イラン国内の発電所や石油関連施設、さらには淡水化プラントへの攻撃も辞さない姿勢を示しています。一方で、側近に対しては封鎖解除を待たずに作戦終了の用意があるとの発言も伝えられており、強硬姿勢と早期終結の思惑が入り混じっています。

 市場関係者からは、需給のひっ迫が続く中で価格変動が激しくなっているとの指摘も出ています。CIBCプライベート・ウェルス・グループのシニア・エネルギートレーダーは、状況が前進と後退を繰り返しているとし、日量1000万から1200万バレル規模の供給が事実上市場から失われているため、言葉だけで価格を抑える効果は弱まっていると分析しています。また、別の資産運用会社の最高投資責任者は、今回の供給途絶がコロナ禍を上回る深刻さになる可能性にも言及しています。

 具体的な供給不安の要因としては、クウェート石油公社が発表したタンカー被害があります。同社によれば、超大型原油タンカー「AL-SALMI」がドバイ港に停泊中、イランの攻撃を受け、満載の原油を積んだ状態で火災が発生しました。火はその後消し止められたものの、原油流出の懸念が残されています。

 このほか、地域の軍事的緊張も一段と高まっています。イエメンの親イラン武装組織フーシ派は週末にミサイルでイスラエルを攻撃しました。欧州当局者によると、イランは対立のさらなる激化に備え、紅海を航行する船舶を標的とした新たな攻撃の準備をフーシ派に促しているとされています。

 こうした一連の出来事を受け、ニューヨーク商業取引所のWTI先物は一時4%上昇し、1バレル=104ドル近辺まで上昇しました。その後もロンドン時間午前には1.2%高の104.13ドルで推移しています。北海ブレント先物も同様に上昇し、期近物は1.9%高の114.96ドルとなりました。

 軍事と外交の両面で不透明感が続く中、エネルギー市場は引き続き不安定な動きを余儀なくされる見通しです。