中東情勢と米雇用動向が揺さぶるドル相場の行方

中東情勢と米雇用動向が揺さぶるドル相場の行方

ニューヨーク外為市場では、ドルは円やユーロなど主要通貨に対して下落する展開となりました。これまで中東情勢の緊迫化を背景に安全資産として買われてきたドルですが、軍事衝突が当初の懸念ほど長引かない可能性が意識されたことで、売り圧力が強まったとみられています。

その背景には、米国とイスラエルによるイランへの攻撃が長期化しないとの見方が浮上したことがあります。一部報道によると、アメリカ大統領はホルムズ海峡が完全に再開されない状況であっても軍事作戦を終了し、海峡の再開については後日に持ち越す考えを示したとされています。

ただし、中東情勢が完全に落ち着いたわけではありません。米国防総省の長官は、イランの脅威を抑える取り組みの大部分を米国が担ってきたと説明しつつ、今後は他国の関与拡大が必要との認識を示しました。また、イラン国内の軍で大規模な離反が起きているとの指摘や、数日以内が重要な局面になるとの見方も示されており、依然として不透明感は強い状況です。さらに、イランの精鋭部隊が報復として中東地域の米企業を標的にする可能性に言及し、複数の企業名を挙げて警戒を呼びかけるなど、緊張の継続を示す動きも見られます。

為替市場ではこうした状況を受け、ドル円は終盤にかけて下落し、158円台後半となりました。もっとも、月初から見ればドルは対円で上昇しており、四半期ベースでも上昇を維持しています。一方で、円安が進行した場合には政府と日銀による為替介入への警戒感が強まっており、実際にドルは対円で2日続けて下落しました。

日本政府も市場の動きに強い関心を示しています。日本政府の財務相は国会で、原油市場に加えて為替市場でも投機的な動きが強まっていると指摘し、国民生活や経済への影響を踏まえてあらゆる手段で対応する姿勢を示しました。これに先立ち、日本の財務省の財務官も、状況が続けば断固とした措置が必要になる可能性に言及しており、市場では為替介入の可能性が意識されています。

市場関係者からは先行きへの不透明感を指摘する声も出ています。カナダの大手銀行の為替ストラテジストは、各国の発言の真意を読み解くのが難しくなっているとし、戦闘の長期化や拡大による影響への懸念が強まっていると説明しています。また、ドルはやや過大評価されている可能性があるとしながらも、リスク回避姿勢が続く限り安全資産としてのドル買いは続くとの見方を示しています。

加えて、市場の関心は米国の経済指標にも向いています。特に4月3日に発表される雇用統計が注目されており、労働市場の動向が今後の金融政策を左右する重要な材料とみられています。すでに発表された2月の雇用動態調査では、求人件数が減少し、採用数も大きく落ち込み、2020年3月以来の低水準となりました。

こうした労働市場の弱さが鮮明になれば、利下げ観測が再び強まる可能性があります。一方で、中東情勢の影響による原油価格の上昇がインフレ懸念を高めており、現時点では米連邦準備制度理事会による利下げ期待はやや後退しています。今後は、地政学リスクと経済指標の双方をにらみながら、ドル相場の方向性が探られていくことになりそうです。