CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.9.17(木) 取引ベース】

CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.9.17(木) 取引ベース】

CME Group(シカゴ・マーカンタイル取引所)が公表しているJapanese Yen Optionsの建玉(Open Interest)データを、9月14日から9月17日までの4営業日分突き合わせて分析しました。今回はCallとPutを完全に分離した上で、限月別・Strike別の建玉分布、直近3営業日のOI変化、そしてBlack-76モデルによるGamma/GEXの推定値まで踏み込んで整理しています。なお、Gamma・GEXはあくまで仮定条件下のモデル推定値であり、実測値ではない点を先にお断りしておきます。

1.CMEドル円オプション市場の現在の状況

9月17日時点の建玉合計はCallが77,734枚、Putが63,433枚で、Put/Call OI比は0.82倍でした。直近4営業日で見ると、Put/Call比は0.81〜0.83倍のレンジで推移しており、大きな偏りの変化は確認できません。出来高はCall3,284枚・Put2,975枚と、9月16日までの2営業日に比べてやや増加しています。

日付 総Call OI 総Put OI 総OI Put/Call比
9/14 77,712 63,350 141,062 0.82
9/15 77,580 64,133 141,713 0.83
9/16 77,364 62,476 139,840 0.81
9/17 77,734 63,433 141,167 0.82

分析基準となる現在のドル円水準は156.26円としています(Trading Economics、2026年9月18日時点の外部市場データ。CME公開データそのものではありません)。

2.満期別のCall / Put建玉

限月別に見ると、Total OIで最大なのは12月限(DEC26)の41,888枚で、10月限(OCT26)の41,481枚とほぼ並んでいます。11月限(NOV26)が20,094枚で続きます。Weekly Optionsの中ではWeekly Friday Option Week3(原資産SEP26)が15,928枚と、他のWeeklyを大きく引き離しています。

Expiration Type Call OI Put OI Total OI Put/Call比
DEC 26 Monthly 27,609 14,279 41,888 0.52
OCT 26 Monthly 19,359 22,122 41,481 1.14
NOV 26 Monthly 11,742 8,352 20,094 0.71
Weekly Friday Week3 SEP26原資産 6,502 9,426 15,928 1.45
MAR 27 Monthly 3,087 1,300 4,387 0.42
JAN 27 Monthly 2,271 514 2,785 0.23
Weekly Thursday Week4 SEP26原資産 15 2,504 2,519 166.9
FEB 27 Monthly 1,307 821 2,128 0.63

DEC26とJAN27、MAY27はCall優位(Put/Call比が低い)である一方、OCT26とWeekly Friday Week3はPut優位となっており、限月ごとにポジションの色合いが異なっています。

3.主要Monthly Optionsの詳細分析

最大建玉のDEC26限月では、Call最大StrikeがStrike6800(USD/JPY換算147.06円)で7,844枚、Put最大StrikeがStrike6000(166.67円)で1,808枚でした。DEC26のCall建玉は現在値から見てかなり下(147円台)に集中しており、Putは大きく上(166円台)に一部積み上がっている構図です。

OCT26限月はCall最大がStrike6200(161.29円)で3,098枚、Put最大がStrike6100(163.93円)で3,356枚と、いずれも現在値より上のゾーンに位置しています。NOV26はCall最大がStrike6350(157.48円)2,377枚、Put最大がStrike6300(158.73円)2,610枚と、こちらは現在値のすぐ近くに集中している点が特徴的です。

Expiration Max Call Strike(USD/JPY) Call OI Max Put Strike(USD/JPY) Put OI
DEC 26 147.06円 7,844 166.67円 1,808
OCT 26 161.29円 3,098 163.93円 3,356
NOV 26 157.48円 2,377 158.73円 2,610

4.Weekly Optionsの特徴

Weekly Optionsは曜日ごと(Monday/Tuesday/Wednesday/Thursday/Friday)にWeek1〜5の連番で管理されていますが、CME公開データ上では「Week N」から実際の満期暦日を確定する情報が得られないため、正確な満期日は確認できません。現時点で建玉が残っているのは、Weekly Friday(Week1・3・4)、Weekly Monday(Week1〜4)、Weekly Tuesday(Week4)、Weekly Wednesday(Week1・2・4・5)、Weekly Thursday(Week4)です。

特にWeekly Friday Week3(SEP26原資産)は建玉・出来高ともに他のWeeklyを圧倒しており、Call・Putともに最大StrikeがStrike6550(152.67円)に一致しています。一方、Weekly Tuesday Week3(SEP26原資産)は9月15日以降、Weekly Wednesday Week3(同)は9月16日以降にそれぞれ建玉がゼロとなっており、週次オプション特有の満期到来によるロールオフとみられます(「売られた」結果ではない可能性が高い点に留意が必要です)。

5.Strike別の最大建玉

全限月を横断して見ると、単一Strikeとして最大の建玉はDEC26のCall・Strike6800(147.06円)の7,844枚でした。ただし、これはDEC26単独の集中であり、複数限月にまたがる集中度で見ると、後述の156.25円・158.73円のほうが「意識されやすさ」という観点では重要度が高くなります。

6.OI Changeから見えるポジション変化

CMEが公表している当日のOI Changeと、前日ファイルとの差分から計算したFile-to-File OI Changeを突き合わせたところ、644件中642件が完全一致しました。差異が生じたのはWeekly Friday Week3(SEP26原資産)のCall6550・Put6525の2件のみで、原因はデータからは特定できません。

直近3営業日(9/14→9/17)で建玉が大きく動いたStrikeは以下の通りです。

Expiration Call/Put USD/JPY 9/14 OI 9/17 OI 3日変化
Weekly Fri Week3(SEP26) Put 156.25円 190 1,111 +921
Weekly Wed Week3(SEP26) Put 156.86円 600 0 -600※
Weekly Fri Week3(SEP26) Put 154.44円 230 818 +588
DEC26 Call 142.86円 2,573 2,155 -418
NOV26 Call 149.25円 1,955 2,233 +278
OCT26 Call 153.85円 2,449 2,638 +189

※Weekly Wednesday Week3のゼロ化は満期到来によるロールオフの可能性が高く、単純な売り圧力とは区別して見る必要があります。なお、OI増加を新規買い、OI減少を売りと断定することはできません。あくまで建玉数量の変化として捉えています。

7.ドル円の重要オプションゾーン

3営業日連続でOIが増加したStrikeとしては、NOV26のCall149.25円(+227→+17→+34、3日計+278)、OCT26のCall153.85円(+6→+4→+179、3日計+189)、Weekly Friday Week3のCall152.09円(3日計+141)などが目立ちます。1日単位の増減にとどまらず複数日連続で積み上がっている点で、継続的な建玉増加として注目に値します。

全限月を合算したStrike別Total OIでは、156.25円(10,033枚)、158.73円(11,397枚)、152.67円(9,913枚)、161.29円(9,699枚)、147.06円(9,549枚)が上位に並びます。155.04円〜158.73円のゾーンは現在値をほぼ挟み込む形で建玉が最も厚く、市場参加者の視線が最も集まりやすい「主戦場」ゾーンといえます。161.29円〜163.93円はPut OIが厚いゾーン、147.06円〜151.52円はCall OIが厚いゾーンとなっています。

8.Gamma分析

IV(インプライド・ボラティリティ)、正確な満期日、金利データがCME公開ファイルには含まれていないため、以下のGamma値はすべて仮定条件によるBlack-76モデル推定値です。正確な満期日を算出できるMonthly Options(CME公式ルール:契約月の第3水曜日の直前の2つ前の金曜日)のうち、建玉上位のOCT26・NOV26・DEC26に絞って算出しました。Weekly Optionsは正確な満期日が確認できないため対象外としています。

前提条件:USD/JPY spot=156.26円(外部市場データ、CME公開データではありません)、Forward≒Spot(金利差データなしのため簡略化)、IVシナリオ8%/10%/12%、残存日数はOCT26≒22日、NOV26≒50日、DEC26≒78日(暦日ベースの近似値)。

Strike(USD/JPY) Expiration Call/Put OI Gamma@8% Gamma@10% Gamma@12%
156.25円 OCT26 Put 3,185 3,173.9 2,539.1 2,115.8
158.73円 OCT26 Put 3,021 2,289.3 2,054.1 1,821.9
153.85円 OCT26 Call 2,638 2,336.3 2,092.8 1,854.4
157.48円 OCT26 Put 2,007 2,923.0 2,405.3 2,035.3
147.06円 DEC26 Call 7,844 452.0 587.0 636.5

現在値に近いStrikeほどGamma値が大きくなる傾向は理論通りで、特にOCT26の156.25円・158.73円・157.48円あたりはGammaが高水準にあります。

9.GEX分析

Gross GEX(Gamma×OI)はIV10%シナリオを基準とした相対指数として算出しています。CME契約乗数や実際のドル建て金額への換算は行っておらず、あくまでStrike間の相対比較のための指数である点にご留意ください。符号についてはCallを+、Putを-とする分析上の仮定を置いています(実際のディーラーのポジションを示すものではありません)。

Expiration Strike(USD/JPY) Call/Put Gross GEX指数(IV10%)
OCT26 156.25円 Put 8.09M
OCT26 158.73円 Put 6.21M
OCT26 153.85円 Call 5.52M
OCT26 157.48円 Put 4.83M
DEC26 147.06円 Call 4.60M

同一Strikeで見た純Signed GEXは、158.73円・156.25円付近ではPutが優位(マイナス)、147.06円・153.85〜157.48円付近ではCallが優位(プラス)という結果になりました。これはあくまで上記の仮定に基づく分析上の指数であり、実際のディーラーのLong Gamma/Short Gammaを断定するものではありません。

10.現在のドル円市場で意識されやすいStrike

Total OI・直近3営業日のOI変化・現在値からの距離・複数限月での重複度を統合したスコアで上位を抽出すると、以下のようになりました。

順位 USD/JPY Total OI 3日OI変化 出現限月数 現在値との距離
1 156.25円 10,033 +1,090 10限月 0.01円
2 158.73円 11,397 -356 8限月 2.47円
3 161.29円 9,699 +170 9限月 5.03円
4 147.06円 9,549 +130 10限月 9.20円
5 152.67円 9,913 +13 9限月 3.59円

特に156.25円は、Total OIの厚さ、直近3日間で最大のOI増加、10限月にまたがる集中という3つの条件をすべて満たしており、かつ現在値からわずか0.01円という位置にあります。この水準がなぜ重要かといえば、単一限月の偏りではなく複数の限月で継続的に建玉が積み上がっている点、かつ現在値の真上に位置している点にあります。158.73円も11,397枚と全Strike中最大のTotal OIを持ち、Put OIが9,464枚と極めて厚いことが特徴です。

11.Resistance / Support候補

オプション建玉の分布から見た候補は以下の通りです。ただし、「巨大OI=必ずその価格まで動く」「巨大OI=必ずサポートになる」という意味ではなく、あくまで意識されやすい価格帯の候補として整理しています。

  • 上方向で意識されやすい候補:158.73円、161.29円(いずれもPut OI集中)
  • 下方向で意識されやすい候補:152.67円、147.06円(いずれもCall OI集中)
  • 現在値に最も近い重要Strike:156.25円

12.今後注目すべきStrike

今回のデータから、今後追跡すべきStrikeとして156.25円、158.73円、147.06円を挙げます。156.25円は現在値のごく近傍で建玉が継続的に増加している点、158.73円は全Strike中最大のTotal OIを持ちPutに極端に偏っている点、147.06円はDEC26のCallが単一Strikeとして最大の建玉(7,844枚)を持つ点が、それぞれ注目される理由です。

13.オプション建玉を相場分析に利用する際の注意点

本分析で用いたGamma・GEXはIVや正確な満期日といった実測値が得られない中での、Black-76モデルによる仮定条件下の推定値です。また、OIの増減を新規の買い・売りと直接結びつけることはできず、Weekly Optionsについては満期到来によるロールオフとポジションの解消を区別できない場合があります。CME公開データだけでドル円の方向性を断定することもできません。あくまで市場参加者のポジション分布を読み解くための一つの材料として捉えていただければと思います。

14.まとめ

今回のCMEデータを整理すると、(1)156.25円が現在値の直近で最も継続的にOIが積み上がっている、(2)158.73円が全Strike中最大のTotal OIを持ちPutに偏っている、(3)Weekly Friday Week3(SEP26原資産)が全Weekly中で突出した建玉を持つ、(4)147.06円にDEC26のCallが単一最大の建玉を形成している、(5)DEC26とOCT26がMonthly Options全体の建玉をほぼ二分している、という5点が今回のデータから直接読み取れる事実です。

今後はこのCMEデータを継続的に取得し、前日比・前週比の変化を追跡することで、ドル円オプション市場のポジション変化を継続的に分析していきます。特に今回浮かび上がった156.25円、158.73円、147.06円といったStrikeが、その後どのように変化していくのかを引き続き追跡していきたいと思います。

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