USD/JPYオプション市場に見るガンマ集中帯分析 156円台から163円台にヘッジフローの壁

Strike (円) Call OI Put OI Total OI OI増減 Gross GEX Signed GEX
204.08 0 280 280 0 ~0 ~0
200.00 0 40 40 0 ~0 ~0
196.08 0 242 242 0 ~0 ~0
192.31 0 159 159 0 ~0 ~0
188.68 0 102 102 0 ~0 ~0
181.82 0 20 20 0 11 -11
178.57 0 11 11 0 60 -60
175.44 2 36 38 0 1,486 -1,330
173.91 0 5 5 0 463 -463
172.41 0 817 817 0 165,742 -165,742
170.94 0 2,615 2,615 0 1,074,152 -1,074,152
169.49 0 200 200 0 154,190 -154,190
168.07 0 665 665 0 893,590 -893,590
166.67 0 3,310 3,310 -47 7,212,413 -7,212,413
165.29 2 2,738 2,740 10 9,022,930 -9,009,758
163.93 50 3,586 3,636 0 16,893,267 -16,428,656
162.60 577 2,950 3,527 5 21,619,937 -14,546,105
161.29 721 4,602 5,323 -91 40,320,691 -29,397,821
160.00 987 4,996 5,983 52 52,535,502 -35,202,211
158.73 2,725 7,499 10,224 10 97,771,848 -45,653,639
157.48 4,459 1,506 5,965 106 58,451,701 28,936,777
156.25 5,003 511 5,514 -28 52,167,669 42,498,580
155.04 2,376 170 2,546 91 21,943,063 19,012,725
153.85 4,246 9 4,255 1,203 31,563,402 31,429,879
152.67 3,284 47 3,331 -668 20,119,352 19,551,589
151.52 1,486 46 1,532 646 7,136,999 6,708,407
150.38 1,471 13 1,484 290 5,057,176 4,968,574
149.25 1,167 1 1,168 60 2,764,755 2,760,021
148.15 2,590 11 2,601 1 4,065,599 4,031,211
147.06 1,513 4 1,517 0 1,490,271 1,482,412
145.99 1,037 10 1,047 0 615,925 604,160
144.93 94 2 96 1 32,257 30,913
143.88 537 5 542 0 99,326 97,493
142.86 727 1 728 0 69,546 69,355
141.84以下(11本) 0 0 ~0 ~0

USD/JPYオプション市場に見るガンマ集中帯分析 156円台から163円台にヘッジフローの壁

2026年8月10日

【マーケット概況】

CME上場のドル円先物オプション、2026年9月限(SEP26)のデータを用いて、オプションガンマの分布状況を分析しました。

基準となる先物価格は0.0063420 JPY/USDで、ドル円換算では157円台に相当します。

満期までの残存日数は38日で、9月14日が最終取引日となります。

分析にはBlack-76モデルを用い、インプライドボラティリティを8%、10%、12%の3シナリオで試算しました。

CMEの公開データには実際のインプライドボラティリティと、売買主体がディーラーなのか一般顧客なのかという情報が含まれていません。

そのため、今回算出したガンマエクスポージャーはあくまで推定値であり、絶対的な金額として捉えるのではなく、どのストライクにポジションが集中しているかという目安として活用する位置づけになります。

【ガンマ集中ストライクの特定】

50を超えるストライク全体を確認したところ、ガンマの集中度が特に高い価格帯は156.25円から161.29円のレンジに存在することが分かりました。

この中でも最もガンマが集中しているのは158.73円付近で、10%IVシナリオでのグロスガンマエクスポージャーは約9,780万相当となっています。

このストライクはプットの建玉が7,499枚と突出して多く、コールの建玉はゼロに近い水準です。

一方、156.25円付近ではコール建玉が5,003枚と優勢で、シグナルとしてのガンマエクスポージャーはプラス方向に大きく振れています。

153.85円から157.48円にかけての価格帯はコール建玉が優勢な分布となっており、158.73円から163.93円にかけてはプット建玉が優勢な分布に転じています。

この境界となる158円台がオプション市場参加者の心理的な分岐点になっている可能性があります。

【シグナルの解釈における注意点】

建玉データだけでは、そのポジションをディーラーが保有しているのか、一般の投資家が保有しているのかを判別できません。

そのため、ガンマエクスポージャーの符号、つまりプラスかマイナスかについては、確定的な方向性シグナルとして扱うことができません。

現時点で確実に言えるのは、156円台から161円台にかけてガンマが厚く積み上がっているという事実そのものです。

一般的にガンマが厚いストライク帯では、原資産価格がその水準に近づいた際にヘッジ目的のオプション売買が活発化しやすく、値動きが抑制されたり、逆に加速したりする傾向が指摘されています。

今回のデータからは、158円台がその意味で反応が出やすい候補地点として浮かび上がっています。

【今後の分析方針】

今回の分析はCME先物オプションの建玉データのみに基づく初期的な試算です。

精度を高めるためには、各限月の実際のインプライドボラティリティやIVスマイルの形状を取得し、複数満期のガンマを合算して評価する必要があります。

また、建玉の増減や出来高の推移を継続的に追跡することで、ガンマ集中帯がどのように移動しているかを把握できるようになります。

今後もCMEのデータ更新に合わせて、このガンマ分析を継続してお届けする予定です。



① 最も重要な「Monthly Options」

月次オプションの建玉を集計すると、現在の中心はかなり明確です。

満期 Call OI Put OI Put/Call比
2026年9月 35,773 37,209 1.04
2026年10月 8,861 15,793 1.78
2026年11月 4,686 3,749 0.80
2026年12月 19,192 14,743 0.77
2027年1月 1,279 436 0.34
2027年2月 498 385 0.77
2027年3月 2,457 1,027 0.42
2027年4月 33 9 0.27
2027年5月 1,978 3 0.00
2027年6月 69 777 11.26
2027年7月 45 19 0.42
2027年9月 12 5 0.42
2027年12月 8 436 54.50

※ Put/Call比=Put OI ÷ Call OI

特に注目したいのは、2026年9月限と10月限です。

2.2026年9月限が最重要

9月限は、

Call OI:35,773
Put OI:37,209

となっており、CallとPutがほぼ拮抗しています。

Put/Call比は、

1.04

です。

つまり、9月限全体では極端なCall優勢・Put優勢ではありません。

しかし、Strike別に見ると非常に興味深い構造になっています。

9月限の主要Call建玉
USD/JPY換算Strike Call OI OI Change
156.25 5,003 -28
157.48 4,459 -55
153.85 4,246 +1,203
152.67 3,284 -668
155.04 2,376 +91
151.52 1,486 +646

ここで特に目立つのが、

153.85 Call

です。

OIが

4,246枚

あり、さらに前日比で

+1,203枚

増えています。

これは今回のデータの中でも非常に大きな増加です。

3.9月限Putは158.73が最大

9月限Putでは、

USD/JPY換算Strike Put OI OI Change
158.73 7,499 +113
160.00 4,996 +24
161.29 4,602 -91
163.93 3,586 0
166.67 3,310 -47
162.60 2,950 +5

となっています。

したがって、9月限では、

Put最大建玉:158.73

が非常に目立ちます。

Call側では、

156.25

が最大です。

4.10月限はPut優勢

10月限を見ると、

Call OI:8,861
Put OI:15,793

です。

Put/Call比は、

1.78

です。

9月限よりも明確にPut建玉が多くなっています。

10月限の主要Strikeでは、

Put
158.73:3,543
163.93:3,395

が目立ちます。

一方Callでは、

161.29:3,099

などが大きな建玉になっています。

5.12月限は逆にCall優勢

12月限は、

Call:19,192
Put:14,743

です。

Put/Call比は、

0.77

となっています。

つまり、

9月・10月 → Putが比較的多い

のに対して、

12月 → Callが比較的多い

という構造です。

さらに12月限では、

Call 125.00付近に6,048枚

という非常に大きな建玉があります。

ただし、これは現在のUSD/JPY水準からかなり離れたStrikeです。

したがって、単純に「125円までドル円が下落すると予想している」と解釈するのは危険です。

オプションの建玉には、ヘッジやスプレッド、ロールなど様々な取引目的が含まれるからです。

6.Weekly Optionsでは非常に大きな動き

今回のデータで私がかなり注目したのが、Weekly Optionsです。

特に、

Weekly Friday Option Week 2

です。

ここでは、

158.10付近

に、

Put

4,280枚

Call

4,118枚

の建玉があります。

しかも前日比を見ると、

Put:+4,194
Call:+4,089

となっています。

これはかなり大きな増加です。

つまり、この満期の158円台前半では、Call・Put双方の建玉が一気に積み上がっています。

7.Weekly Monday Week 2にもCall建玉

Weekly Monday Week 2では、

153.85 Call:2,941枚

が大きな建玉になっています。

さらに、

156.25 Call:2,447枚

もあります。

したがって短期オプションでは、Call側の建玉がかなり目立ちます。

8.今回のデータで特に注目すべきStrike

全データをStrike別に見ると、重要な水準が浮かび上がります。

月次+週次を総合して特に目立つ水準

158円台

です。

特に、

158.73

は9月限Putの最大OI、

158.10

はWeekly Friday Week 2のCall/Put双方の巨大OIとなっています。

したがって、現在のドル円オプション市場を見るうえでは、

158円~159円付近

がかなり重要なゾーンになっています。

9.OI Changeから見るとさらに面白い

単純な建玉の大きさだけではなく、前日比の増減を見ると新しいポジションがどこに入ったのかが見えてきます。

今回の月次データでは、

OI増加が目立つCall

2026年9月限 153.85 Call

+1,203

2026年9月限 151.52 Call

+646

2026年10月限 153.85 Call

+261

など。

一方、Putでは、

2026年10月限 157.48 Put

+564

2026年9月限 157.48 Put

+161

などが目立ちます。

10.今回のデータを一言でまとめると

現在のCMEドル円オプション市場は、

「9月限は158円前後を中心にCall/Put双方の建玉が厚く、10月限ではPutが優勢。一方、12月限ではCallが優勢」

という構造になっています。

さらに短期のWeekly Optionsでは、

158円台前半にCall・Put双方の巨大な建玉が集中

しています。

これは今後のドル円を見るうえで非常に興味深いポイントです。



【初心者向け用語解説】

ガンマとは、オプション価格がデルタ(原資産価格変化に対する感応度)を通じてどれだけ変化しやすいかを示す指標です。

GEX(ガンマエクスポージャー)とは、市場全体のオプションポジションが持つガンマの合計を金額換算したもので、価格変動の増幅や抑制を予測する材料として使われます。

OI(建玉)とは、決済されずに残っているオプション契約の枚数のことです。

IV(インプライドボラティリティ)とは、オプション価格から逆算される市場予想の変動率のことです。

ストライクとは、オプションの権利行使価格のことです。

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