来週は米雇用統計と介入警戒のはざまで試される展開に

今週のドル円は心理的節目の160円を上抜け、来週は米雇用統計と介入警戒のはざまで試される展開に

今週のドル円は序盤こそ方向感に欠ける値動きでしたが、週末にかけてジャクソンホール会議でのウォーシュFRB議長講演をきっかけに円安が一気に加速し、約1カ月ぶりに160円台を回復しました。日米協調介入からちょうど4週間というタイミングで節目を突破したことは、市場が改めて日米金利差を意識し始めた証といえそうです。来週は月初の米重要経済指標ラッシュと、財務省の出方をにらむ神経質な展開が続くとみられます。

今週のドル円の振り返り

週初24日は、時間外取引で米長期金利が低下したことから上値が重く、一時158円71銭まで軟化しました。目立った経済指標の発表もなく、158円半ばから159円前半のレンジでのもみ合いに終始しています。

25日には159円30銭を割り込んだ後、158円02銭まで急落する場面もありましたが、対イラン制裁強化などのヘッドラインへの反応は限定的で、全体として値動きに乏しい一日となりました。

流れが変わったのは26日です。発表された米7月個人消費支出(PCE)デフレーターと4〜6月期GDP改定値は、インフレの根強さと景気の底堅さを示す内容となり、米長期金利の上昇とともにドル買いが優勢になりました。

27日は、氷見野日銀副総裁が追加利上げの時期やペースについて明言を避けたことがややハト派的と受け止められて円売りが強まったほか、米長期金利の上昇も重なり、159円52銭前後まで値を上げています。

そして週末28日、ジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長が物価高への対応の必要性を強調したと受け止められると、米長期金利の上昇とともにドルが全面高となりました。ニューヨーク市場では159円41銭まで一時弱含んだ後、160円20銭まで急伸し、160円09銭で週の取引を終えています。これは7月末の日米協調介入以来、およそ1カ月ぶりの160円台回復です。

なお同じ28日、財務省は7月30日から8月26日までの円買いドル売り介入額が総額15兆3993億円と、月次ベースで過去最大だったことを発表しました。巨額の介入を経てもなお円安圧力が優勢となったことは、市場に「介入の効果は時間稼ぎに過ぎない」との受け止めを広げているようです。

テクニカル分析から見る現在地

日足チャートを見ますと、1月の安値圏から続く右肩上がりのトレンドラインに沿った上昇が続いており、7月につけた163円台後半の高値からの調整も、フィボナッチ23.6%戻し(158円29銭付近)を割り込むことなく反発に転じています。現在値の160円50銭前後は、11.8%戻し(161円13銭付近)と23.6%戻し(158円29銭付近)のレンジ内に位置しており、長期トレンドは依然として上向きが優勢と判断できます。日足のストキャスティクスは40台から50台と中立圏にあり、過熱感はまだ限定的です。

一方、4時間足では7月末の急落からの戻りが38.2%戻し(159円50銭付近)を明確に上抜けたことが確認でき、次の抵抗として23.6%戻し(161円21銭付近)が視野に入ってきています。MACDもゼロラインを上回って推移しており、短中期的な地合いはドル買い優勢との見方が成り立ちます。

短期足(15分足)では、28日の急伸によりストキャスティクスが90台まで上昇しており、短期的な過熱感には注意が必要です。25日・75日移動平均線はいずれも上向きで、押し目があれば買いが入りやすい並びとなっています。

来週の見通しと注目材料

来週は月初特有の米重要指標が相次ぎます。下記の通りです。

日付 指標・イベント 市場予想など
9月1日 米8月ISM製造業景況指数 55.2程度(前回55.6)と予想され、節目の50は大きく上回る見通しです。
9月4日 米8月雇用統計 失業率4.1%前後、非農業部門雇用者数は前月比プラス5万人台への改善が見込まれています。
9月17日から18日 日銀金融政策決定会合 追加利上げに踏み切る公算が意識されていますが、市場は織り込みつつあり反応は限定的とみられます。

米インフレ圧力が根強い中、9月4日発表の雇用統計で改善が確認されれば、早期追加利上げ観測とともに米長期金利が高止まりし、ドル買いに振れやすい地合いが続く可能性があります。中東情勢を巡る過度な懸念は一服したものの不透明感は払拭されておらず、ドルが積極的に売られにくい面もあります。

一方、日本国内では高市政権による積極財政姿勢を不安視した円売りが引き続きドルを下支えする材料となりそうです。ただし、心理的節目の160円を明確に上抜けたことで、財務省による追加為替介入への警戒感が一段と強まりやすく、上値のピッチは緩慢になるとみています。米トランプ政権が取りまとめを急ぐ財政健全化プログラムの内容を見極めたいとの思惑も、過度なドル買いを抑制する要因になり得ます。

投資戦略とまとめ

上値と下値の目安を整理すると、以下のようになります。

区分 水準 備考
上値ポイント 161円50銭 4時間足フィボナッチ23.6%戻し(161円21銭付近)と近接する抵抗帯です。
上値ポイント 162円00銭前後 日足フィボナッチ11.8%戻し(161円13銭付近)を超えた先の心理的節目です。
下値ポイント 159円50銭付近 4時間足38.2%戻しであり、直近まで抵抗として意識されていた水準が支持帯に転じています。
下値ポイント 158円00銭前後 日足フィボナッチ23.6%戻しに近く、押し目買いが入りやすい水準として意識されそうです。

来週は米雇用統計をはじめとする重要指標の結果次第で一段のドル高が視野に入る一方、160円台での滞空時間が長引くほど財務省による不意打ち的な介入への警戒感も高まりやすくなります。押し目では159円50銭から158円台にかけての支持帯を意識した押し目買いが基本線となりそうですが、161円50銭から162円台にかけては利益確定売りや介入警戒によるいったんの伸び悩みも想定されるため、高値圏での新規の買い持ち高積み増しには慎重な姿勢が求められそうです。

なお、本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終判断はご自身の責任で行っていただきますようお願いいたします。

All rights reserved by Scalper-FX.com