CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.8.17(月)04:07 UTC時点】

CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.8.17(月)04:07 UTC時点】


1.CMEドル円オプション市場の現在の状況

CME Japanese Yen Options(VoiDetailsForProduct)の8月17日公開ファイルによると、全限月・全Strike合計のOpen Interestは17万9,608枚。内訳はCall 9万4,725枚、Put 8万4,883枚で、Put/Call OI Ratioは0.896。枚数だけ見るとCallの方がやや多いが、これは満期の遠い限月にCallの厚みが乗っているためで、直近の値動きに近いゾーンではPut優勢の構造になっている(後述)。

前回ファイル(8月14日)との比較では、合計OIは18万9,978枚から17万9,608枚へ、約1万370枚(-5.5%)減少した。ただしこれは市場全体の手仕舞いというより、8月14日(金)満期のWeekly Friday Week2(AUG26)オプションが決済でOIゼロになったことが主因で、単純な「弱気転換」と読むのは早計である。

USD/JPYスポットは159.08円(2026年8月17日 04:07 UTC、Xe.com仲値)。この記事の重要Strike分析はすべてこの水準からの距離で評価している。

2.満期別のCall / Put建玉

CME公開ファイル上でTotal OIが大きい上位限月は次の通り。

ExpirationTypeCall OIPut OITotal OIPut/Call Ratio
SEP 26Monthly35,50438,25273,7561.077
DEC 26Monthly20,12915,77835,9070.784
OCT 26Monthly10,65316,53027,1831.552
NOV 26Monthly4,8903,9268,8160.803
Weekly Friday Week3AUG 263,7722,4066,1780.638
Weekly Friday Week4AUG 262,8738263,6990.288
Weekly Monday Week3AUG 263,560273,5870.008
MAR 27Monthly2,4791,0403,5190.420
Weekly Thursday Week3AUG 261,8347872,6210.429
Weekly Friday Week2SEP 262,1723362,5080.155

最大満期は9月限(SEP 26 Monthly)で、全体の約41%をこの1限月だけで占める。Put/Call Ratioは1.077とPutがわずかに優勢。次いでOCT 26(10月限)はPut/Call Ratio 1.552とPut偏重が際立つ。逆にDEC 26(12月限)はCall優勢(0.784)で、限月ごとに市場の見方が分かれている点は見逃せない。

3.主要Monthly Optionsの詳細分析

SEP 26(最大限月)

ExpirationMax Call StrikeCall USD/JPYCall OIMax Put StrikePut USD/JPYPut OI
SEP 266400156.2505,0786300158.7307,478

SEP 26限月ではCall最大建玉が156.25円、Put最大建玉が158.73円。現在値159.08円のすぐ下に最大のPut建玉が控えている形で、この限月に関しては「158.73円が意識されている」という構図がそのまま出ている。

OCT 26 / DEC 26 / NOV 26

ExpirationMax Call StrikeCall USD/JPYCall OIMax Put StrikePut USD/JPYPut OI
OCT 266200161.2903,0996300158.7303,571
DEC 268000125.0006,0485700175.4393,913
NOV 266350157.4801,3676250160.000926

DEC 26限月のCall最大建玉Strike(8000=125.00円)は現在値から34円も離れており、実質的にドル円のレンジ内で機能する水準ではない。これはヘッジ目的か、極端な下方シナリオへの保険的建玉である可能性が高いが、CME公開データだけでは建玉の目的までは判別できない。

4.Weekly Optionsの特徴

現時点(8月17日・月曜)で残存しているAUG26のWeekly Optionsは、満期が近い順に以下の通り。

種別対象週推定満期日※Total OIPut/Call
Weekly Monday Week3AUG268/17(当日)※要確認3,5870.008
Weekly Wednesday Week3AUG268/192,4020.803
Weekly Thursday Week3AUG268/202,6210.429
Weekly Friday Week3AUG268/216,1780.638
Weekly Friday Week4AUG268/283,6990.288

※CME公開ファイル上には正確な満期日フィールドが存在しないため、これは「週区分ラベル+カレンダー」から逆算した推定日である。特にWeekly Monday Week3(AUG26)は本記事作成時点のカレンダー上では本日8/17に一致するため、当日満期の可能性がある点に注意(CME側の正式なLTD情報での確認が望ましい)。

Weekly Friday Week2(AUG26)はCallOI・PutOIともに0で、8/14の満期決済によりOIが消滅したことが前日ファイルとの比較で確認できる(詳細は7章)。Weekly Optionsの中ではWeekly Friday Week3(8/21満期、Total OI 6,178)が最大で、直近1週間の値動きに対する意識が最も強く表れている。

5.Strike別の最大建玉

全限月を横断してStrikeごとにOIを合計すると、次の通り158.73円(CME Strike 6300)が突出している。

CME StrikeUSD/JPY StrikeCall OIPut OITotal OI現在値との距離
6300158.7305,41515,05520,470-0.35円(0.22%)
6200161.2904,5949,70214,296+2.21円(1.39%)
6350157.4809,6733,06312,736-1.60円(1.01%)
6400156.2509,0682,70311,771-2.83円(1.78%)
6500153.8469,44386910,312-5.23円(3.29%)
6250160.0001,4568,4279,883+0.92円(0.58%)
6100163.934619,3599,420+4.85円(3.05%)

158.73円は10本の異なる限月(Monthly/Weekly双方)にまたがってOIが積み上がっており、単一限月の偏りではなく市場全体で意識されているレベルであることが分かる。

6.OI Changeから見えるポジション変化

CME公表OI Change(当日分)で増加が大きいポジション

  • Weekly Friday Week3(AUG26)Call/Put 6300(158.73円):それぞれ+1,086/+1,166
  • Weekly Monday Week3(AUG26)Call 6350(157.48円):新規+1,281
  • Monthly OCT26 Call 6200(161.29円):+598
  • Weekly Wednesday Week3(AUG26)Call 6350(157.48円):+592

CME公表OI Changeで減少が大きいポジション

  • Monthly SEP26 Call 6300(158.73円):-459
  • Weekly Friday Week2(AUG26):満期決済によりCall/Put双方が消滅(-4,156/-4,291など、7章参照)

CMEのOI Change列と、前日ファイルとの差分(file-to-file)を突き合わせると、158.73円のOI Changeは両方の計算方法で一致しており(+1,898)、データの整合性は確認できた。ただしOIの増加を「新規の買い建て」と断定することはできない。売り建ての新規も、既存ポジションの限月間ロールオーバーも、同じ「OI増加」として現れるためである。

7.前日比・前週比

8/14ファイルと8/17ファイルの突合(同一限月・同一Strike・同一Call/Putで一致するもののみ比較)による代表的な変化は以下の通り。

StrikeUSD/JPY8/14 OI8/17 OI変化変化率
6300158.73018,57220,470+1,898+10.22%
6600151.5153,8724,540+668+17.25%
6400156.25011,35611,771+415+3.65%
6325158.10310,5462,128-8,418-79.82%
6275159.3633,1341,342-1,792-57.18%
6550152.6727,7536,859-894-11.53%
6250160.00010,7029,883-819-7.65%

6325円(158.10円)と6275円(159.36円)の大幅減少は、8/14満期のWeekly Friday Week2(AUG26)に集中していた建玉が決済で消えたことが主因である(下表)。

消滅したポジション(例)8/14 OI
Weekly Friday Week2 AUG26 Put 158.10円4,291
Weekly Friday Week2 AUG26 Call 158.10円4,156
Weekly Friday Week2 AUG26 Call 159.36円2,407

一方、158.73円(Strike 6300)は前日比+10.2%と、消滅した週次オプションとは対照的に着実に積み上がっている。これは複数の限月(Monthly SEP26、Weekly Friday Week3など)にまたがる増加であり、「継続的な建玉増加」の候補として注目に値する。ただし比較できるファイルは2営業日分のみのため、3営業日・5営業日、前週同曜日との比較は今回のデータからは実施できない。

8.Weekly分析(続き・満期集中の確認)

Weekly Friday Week3(AUG26、8/21満期)はCall/Put双方とも158.73円に最大建玉が集まっており(Call 1,088枚、Put 1,199枚)、直近の週次限月レベルでも158.73円が意識されていることが確認できる。Weekly Thursday Week3(8/20満期)も157.48円にCall・Put双方の最大建玉が乗っており、目先1週間はこの2水準(157.48円・158.73円)を挟んだレンジ形成が意識されやすい状況にある。

9.Gamma分析(推定値・仮定条件明記)

重要な前提:今回のCME公開VOIデータにはImplied Volatility、正確な満期日、金利データのいずれも含まれていない。したがって、以下のGammaはすべて「仮定条件によるモデル推定値」であり、実測値ではない。

  • モデル:Black-76(Monthly OptionsはCME仕様上American Style Premium Quotedだが、早期行使プレミアムは小さいと仮定し近似的にBlack-76を使用。Weekly Optionsの権利行使スタイルはCME公開資料からは明確に確認できず「仕様確認が必要」)
  • Forward:スポット159.08円で代用(USD・JPYの金利差データがないための仮定。本来はForward Rateを使うべき)
  • Time to Expiration:Monthly限月はCME標準的な満期慣行(第3水曜日の2営業日前)から近似計算した日数を使用。正確な満期日はCME公開データには存在しないため、これも近似値
  • IVシナリオ:8% / 10% / 12%の3パターン
StrikeUSD/JPYGamma @8%Gamma @10%Gamma @12%
6300(SEP26)158.7300.1130.0900.076
6350(SEP26)157.4800.1040.0840.070
6250(SEP26)160.0000.1010.0810.068
6300(Weekly Fri Wk3)158.7300.2810.2340.200
6350(Weekly Thu Wk3)157.4800.2640.2190.186

満期が近いWeekly Optionsほど、同じStrikeでもGammaが数倍大きく計算される。これはTime to Expirationが短いほどGammaが尖るという一般的な性質によるもので、直近1週間はMonthly Optionsよりも週次オプションの値動き影響力(ピン止め圧力)が相対的に強く出やすい局面である。

10.GEX分析(推定値・符号は仮定)

Gross GEX(Gamma×OIを基礎とした建玉集中度の目安、IV10%シナリオ)を集計すると、以下の通り158.73円が突出する。

USD/JPY StrikeGross GEX(相対値、IV10%)現在値との距離
158.730最大(基準)-0.35円
157.480約54%水準+1.60円
161.290約47%水準-2.21円
160.000約41%水準-0.92円
156.250約36%水準+2.83円

Call/Putを分離すると、Call Gross GEXの最大値は157.48円、Put Gross GEXの最大値は158.73円に位置する。

Signed GEXについての注意:Signed GEX(Callを+、Putを-とする、あるいはその逆とする分析上の仮定を置いた符号付き集計)は、ディーラーの実際のポジション方向(買い建てか売り建てか)が判別できない以上、あくまで「一つの仮定に基づく試算」に過ぎない。CME公開のOIだけでは、これらの建玉が誰のロング・ショートかを断定できないため、本記事ではDealer Long Gamma/Dealer Short Gammaという断定的な表現は使用しない。

11.ドル円の重要オプションゾーン

Total OI・Gamma・GEX・複数限月での集中度を総合すると、次の3つのゾーンが浮かび上がる。

  • 157.48円~158.73円ゾーン:Call・Put双方の最大建玉が集中し、Gross GEXも最大。Monthly(SEP26)とWeekly(Friday Week3・Thursday Week3)の双方で重なっており、目先1~2週間で最も意識されやすいゾーン
  • 160.00円~161.29円ゾーン:Put OIが厚く、現在値のやや上に位置するレジスタンス候補ゾーン
  • 153.85円~156.25円ゾーン:Call OIが厚く積み上がっており、下方向で意識されやすいゾーン

12.現在のドル円市場で意識されやすいStrike(重要Strikeランキング)

Total OI、複数限月での集中、OI変化、Gamma/GEX、現在値との距離を総合評価した重要Strikeは次の通り。

順位USD/JPYTotal OI現在値との距離特徴
1158.73円20,470-0.35円(0.22%)全Strike中最大OI・最大GEX・10限月に分散・前日比+10.2%
2160.00円9,883+0.92円(0.58%)Put優勢(8,427枚)、11限月に分散
3157.48円12,736+1.60円(1.01%)Call優勢(9,673枚)、Call Gross GEX最大
4161.29円14,296-2.21円(1.39%)Put優勢(9,702枚)、9限月に分散
5156.25円11,771+2.83円(1.78%)Call優勢(9,068枚)、11限月に分散
6159.36円2,020-0.28円(0.18%)現在値に最も近い部類だがOIは中規模、8/14からは大幅減
7163.93円9,420-4.85円(3.05%)ほぼPutのみ(9,359枚)、遠い上値警戒ゾーン
8153.85円10,312+5.23円(3.29%)ほぼCallのみ(9,443枚)、12限月に分散
9155.04円8,237+4.04円(2.54%)Call優勢(7,168枚)
10166.67円5,858-7.59円(4.77%)ほぼPutのみ、遠方の上値警戒ゾーン

13.Resistance / Support候補

あくまで「候補」「意識されやすい価格帯」としての整理であり、必ずその価格まで到達する、あるいは反発するという意味ではない。

Resistance候補(現在値より上)

  • 160.00円:Put OI集中(8,427枚)、複数限月に分散
  • 161.29円:Put OI集中(9,702枚)、Gross GEXも高水準
  • 163.93円:Put偏重(9,359枚)、やや遠いがOI規模は大きい

Support候補(現在値より下)

  • 158.73円:Total OI・GEXともに最大。至近距離(0.35円)にあり、現時点で最も意識されやすい水準
  • 157.48円:Call OI集中(9,673枚)、Call Gross GEX最大
  • 156.25円:Call OI集中(9,068枚)

14.今後注目すべきStrike

以下3水準は、今回のデータから見て特に注目度が高い。

158.73円:Total OI 20,470枚(全Strike中最大)、Put OI 15,055枚、10限月にまたがって分散、前日比+1,898枚(+10.2%)と継続的に積み上がっている。現在値からわずか0.35円(0.22%)しか離れておらず、直近の値動きに最も直接的な影響を与えうる水準。

160.00円:Put OI 8,427枚が11限月に分散して存在し、現在値からわずか0.92円(0.58%)。上放れを試す局面での抵抗として意識されやすい。

157.48円:Call OI 9,673枚が10限月に分散。Call Gross GEXも全Strike中最大で、下押しした際の下値の目安として意識されやすい。

15.オプション建玉を相場分析に利用する際の注意点

  • OIの増加を「新規の買い」「新規の売り」と断定することはできない。ロールオーバーやスプレッド取引でもOIは変動する
  • 巨大なOIが存在するからといって、必ずその価格まで相場が動く、あるいはその価格で反発するとは限らない。あくまで「市場参加者が意識している価格帯の候補」である
  • 本記事のGamma・GEXはIV・満期日・金利のいずれも実測値がないため、モデル推定値・仮定シナリオに基づく試算である
  • Dealer Positionの方向(ロングガンマかショートガンマか)はCME公開のOIだけでは判別できない
  • CMEデータのみでドル円の方向性を断定することはできない。あくまでオプション市場から見た「価格構造の一断面」として活用すべきである

16.まとめ

8月17日時点のCME Japanese Yen OptionsのVOIデータからは、158.73円が最も厚く、かつ最も広範囲の限月にまたがって意識されている水準であることが明確に見て取れる。8月14日から17日にかけて、この水準のOIは10.2%増加しており、単発の建玉ではなく継続的な積み上がりである点が特徴的だ。上方向では160.00円・161.29円にPut OIが、下方向では157.48円・156.25円にCall OIがそれぞれ厚く、現在値159.08円を挟んだレンジ構造が浮かび上がる。

一方で、8月14日満期のWeekly Friday Week2オプション(158.10円・159.36円中心)が決済でOIを失ったことで、この2水準の建玉規模は大きく縮小した。オプション建玉は満期を迎えるたびに構造が組み替わるため、今後もこうした「消滅」と「新規積み上がり」を区別しながら追跡する必要がある。

今後はこのCMEデータを継続的に取得し、前日比・前週比の変化を追跡することで、ドル円オプション市場のポジション変化を継続的に分析していく。特に今回浮かび上がった158.73円、160.00円、157.48円という3つの水準が、直近1~2週間でどのように変化していくのか、また8月21日満期・8月28日満期のWeekly Optionsの建玉がどこに積み上がっていくのかを重点的に追跡していきたい。


データ出典・注記

  • CME公開データ:VoiDetailsForProduct20260814.xls/VoiDetailsForProduct20260817.xls(Japanese Yen Options, Volume/Open Interest Detail)
  • CME Strike → USD/JPY Strike 変換:CME Strike ÷ 1,000,000 = JPY/USD、その逆数がUSD/JPY Strike(CME Japanese Yen Options仕様:1 point = $0.000001 per yenに基づく)
  • USD/JPYスポット:159.08円(2026年8月17日 04:07 UTC、Xe.com仲値)
  • Gamma/GEXはIV・正確な満期日・金利のいずれも実測値なしのモデル推定値。Signed GEXの符号は分析上の仮定であり、実際のディーラーポジションを示すものではない

コメント

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