CME USD/JPY Option Daily Watch【2026.8.21(金)分析】

CME Groupが公開している日本円オプションのVOI(Volume/Open Interest)データを、8月21日分と8月19日分の2営業日で比較しながら見ていく。今回のデータで最も目を引くのは、158.73円(CME Strike 6300)に建玉が突出して積み上がっている構図と、同じ158.73円のPutが2営業日で7,210枚から5,237枚へと大きく減少した点だ。

USD/JPYスポットは158.96円(2026年8月21日時点、TradingEconomics参照)。158.73円はこのスポットからわずか0.23円(0.14%)の距離にある。

1.CMEドル円オプション市場の現在の状況

8月21日時点の全限月合計で見ると、最大の建玉を抱えるのはSEP26限月(Monthly)で、Call 42,245枚・Put 38,319枚、合計80,564枚と全体の過半を占めている。原資産である円先物SEP26限月自体もAt Close建玉382,072枚(Total Volume 162,688枚)とフロントマンスとして最大であり、オプション側の建玉集中と整合的な動きだ。

Expiration Type Call OI Put OI Total OI Put/Call Ratio
SEP 26 Monthly 42,245 38,319 80,564 0.91
DEC 26 Monthly 20,730 15,783 36,513 0.76
OCT 26 Monthly 12,249 17,359 29,608 1.42
AUG 26 Weekly計 15,241 4,146 19,387 0.27
NOV 26 Monthly 7,405 5,250 12,655 0.71
MAR 27 Monthly 2,312 1,040 3,352 0.45
JAN 27 Monthly 1,644 440 2,084 0.27
MAY 27 Monthly 1,978 3 1,981 0.00
FEB 27 Monthly 578 405 983 0.70
JUN 27 Monthly 98 877 975 8.95

2.満期別のCall / Put建玉

限月別Total OIのランキングはSEP26(80,564枚)、DEC26(36,513枚)、OCT26(29,608枚)と続く(上表参照)。Put/Callレシオで見るとOCT26が1.42倍とPut優勢、逆にAUG26のWeekly合算は0.27倍とCall優勢の構図になっている。JUN27はPut/Callレシオこそ8.95倍と突出しているが、OI絶対水準は975枚と薄商いの限月である点には注意したい。

3.主要Monthly Optionsの詳細分析

SEP26 MonthlyのStrike別に見ると、Call側の最大建玉は156.25円(Strike 6400)の5,226枚、Put側の最大建玉は158.73円(Strike 6300)の5,237枚。この2つのStrikeを軸に、155円台後半から161円台にかけて厚い建玉層が形成されている。

Strike USD/JPY Call OI Call OI Change(CME) Put OI Put OI Change(CME) Total OI
6300 158.73 2,230 +2 5,237 +35 7,467
6250 160.00 993 -32 5,017 +105 6,010
6400 156.25 5,226 +2 521 +10 5,747
6200 161.29 721 0 4,826 +10 5,547
6350 157.48 4,417 +26 1,455 -33 5,872
6450 155.04 2,475 +12 170 0 2,645
6500 153.85 3,289 +108 8 0 3,297
6100 163.93 49 0 3,568 0 3,617

4.Weekly Optionsの特徴

Weekly Optionsでは、AUG26限月のFriday Week3(合計7,578枚)とWednesday Week4(合計7,048枚、うちCallが6,678枚)が目立つ。特にWednesday Week4はCall偏重が顕著で、Put/Callレシオは0.06倍にとどまる。

OptionType Expiration Call OI Put OI Total OI
Weekly Friday Week 3 AUG 26 5,098 2,480 7,578
Weekly Wednesday Week 4 AUG 26 6,678 370 7,048
Weekly Friday Week 4 AUG 26 2,914 852 3,766
Weekly Friday Week 2 SEP 26 2,700 637 3,337
Weekly Monday Week 2 SEP 26 2,425 50 2,475
Weekly Wednesday Week 1 SEP 26 437 902 1,339

なお、Weekly各区分の正確な満期日(暦日)はCME公開データからは特定できないため、ここでは「何週目のWeekly」という単位での把握にとどめている。

5.Strike別の最大建玉

全限月を横断してCall+Putを合算したTotal OIランキングでは、158.73円が首位に立つ。

順位 Strike USD/JPY 合算Total OI
1 6300 158.73 19,537
2 6200 161.29 14,544
3 6400 156.25 13,169
4 6450 155.04 13,083
5 6500 153.85 12,291
6 6250 160.00 9,860
7 6350 157.48 9,839
8 6100 163.93 9,592
9 6550 152.67 6,856
10 6000 166.67 6,249

158.73円〜161.29円のレンジに上位陣が集中しており、この価格帯全体がドル円市場で意識されやすいゾーンと言える。

6.OI Changeから見えるポジション変化

CME公表のChange欄と、8/19ファイルとの比較で算出したFile-to-File差分を分けて見ると、最大の変化は158.73円Putで、7,210枚から5,237枚へ2営業日で1,973枚(-27.4%)減少している。

Strike CallPut Prior OI(8/19) Current OI(8/21) File-to-File Change
6300 (158.73) Puts 7,210 5,237 -1,973
6450 (155.04) Calls 2,074 2,475 +401
6375 (156.86) Calls 246 470 +224
6400 (156.25) Calls 5,075 5,226 +151
6500 (153.85) Calls 3,213 3,289 +76
6600 (151.52) Calls 1,665 1,525 -140

これは同Strikeの建玉整理が進んだことを示すデータだが、OI減少を「売り」と断定することはできない。増加側では155.04円Call(+401枚)、156.86円Call(+224枚)、156.25円Call(+151枚)が続いており、155円台後半〜156円台のCallに継続的な資金流入が見られる。

7.ドル円の重要オプションゾーン

  • Total OI集中ゾーン:153.85円~161.29円(Strike 6200〜6500)
  • Call OI集中ゾーン:152.67円~156.25円(Strike 6400〜6550)
  • Put OI集中ゾーン:158.73円~166.67円(Strike 6000〜6300)
  • Gamma/GEX集中ゾーン:158.73円~160.00円(Strike 6250〜6300)
  • OI増加ゾーン(File-to-File):155.04円~156.86円のCall側で継続的な増加

8.Gamma分析

IV・正確な満期日がデータにないため、CMEの満期規則(限月の第3水曜日の2営業日前)から近似した残存日数(SEP26は約24日、2026/9/14頃と推定)と、IV8/10/12%の3シナリオでBlack-76モデルによる推定を行った。

Strike USD/JPY Gamma @8% Gamma @10% Gamma @12%
6300 158.73 0.1055 0.0957 0.0863
6250 160.00 0.1035 0.0933 0.0836
6350 157.48 0.0987 0.0895 0.0808
6200 161.29 0.0928 0.0828 0.0737
6400 156.25 0.0838 0.0766 0.0696
6450 155.04 0.0666 0.0601 0.0546

158.73円のGammaはIV10%で0.0957、160.00円で0.0933と、いずれもこの2Strikeで最大水準となっている。あくまでモデル推定値であり、実測のGamma・Deltaではない点に留意されたい。

9.GEX分析

Gamma×OIによるGross GEXは158.73円が最大。Call側を+、Put側を-とする仮定でのSigned GEXも算出した(この符号はあくまで分析上の仮定)。

Strike USD/JPY Call OI Put OI Call GEX Put GEX Total Gross GEX Signed GEX
6300 158.73 2,230 5,237 213 501 714 -288
6250 160.00 993 5,017 93 468 560 -375
6350 157.48 4,417 1,455 395 130 526 +265
6200 161.29 721 4,826 60 399 459 -340
6400 156.25 5,226 521 400 40 440 +360
6150 162.60 577 2,556 38 170 209 -132

SEP26 Monthly全体(IV10%)ではTotal Gross GEX 約3,914、Signed GEX 約-441となり、Put側の建玉がやや優勢な計算結果となった。ただし、CME公開OIだけでは実際のディーラーポジションの売買方向は判別できない。

10.現在のドル円市場で意識されやすいStrike

Total OI・Gamma・現在値との近接性を総合すると、以下の水準が上位に挙がる。

順位 Strike(USD/JPY) 根拠
1 158.73円 Total OI 19,537枚(全体最大)、Gamma最大、スポットまで0.23円
2 161.29円 Total OI 14,544枚、Put優勢
3 156.25円 Total OI 13,169枚、Call優勢
4 155.04円 Total OI 13,083枚、File-to-Fileで増加継続
5 153.85円 Total OI 12,291枚、Call優勢

11.Resistance / Support候補

  • Support候補:153.85円〜156.25円(Call OI集中)
  • Resistance候補:158.73円〜166.67円(Put OI集中)

ただし、これらは「巨大OI=必ずSupport/Resistanceになる」というものではなく、あくまでオプション市場参加者に意識されやすい価格帯の候補として捉えるべきものだ。

12.今後注目すべきStrike

158.73円のPut OIが今回2営業日で大きく減少したことを踏まえ、この水準の建玉が今後さらに整理されるのか、あるいは再構築されるのかを継続的に追う必要がある。あわせて155円台後半〜156円台のCallで見られた継続的な建玉増加が、次回以降のファイルでも続くかどうかも重要な観察ポイントになる。

13.オプション建玉を相場分析に利用する際の注意点

CME公開VOIデータは、あくまで「オプション建玉の分布」を示すものであり、それ自体がドル円の方向性を断定する材料ではない。OI増加を新規の買い建てと決めつけたり、OI減少を売り決済と決めつけたりすることはできず、また今回示したGamma・GEXも、IVや正確な満期日が公開データに含まれていないため、複数の仮定に基づく推定値にとどまる。ディーラーがネットでロング・ショートいずれのガンマポジションを持っているかも、CME公開データのみからは判別できない。

14.まとめ

今回のCMEデータからは、158.73円が全ストライク中で最大のTotal OIとGamma集中を持ち、かつ現在のドル円スポット(158.96円、2026/8/21時点)のすぐ下に位置していることが確認できた。一方で同じ158.73円のPutは2営業日で大きく建玉が減少しており、この水準を巡るポジションの変化が進行中であることもうかがえる。今後はこのCMEデータを継続的に取得し、158.73円、160.00円、161.29円など今回浮かび上がった重要Strikeが、その後どのように変化していくのかを前日比・前週比で追跡し、ドル円オプション市場のポジション変化を継続的に分析していく。


USD/JPYスポット参照:TradingEconomics(2026年8月21日時点、158.9590円)。CMEデータ取得日時:ファイル名記載の2026/8/19・2026/8/21分(VoiDetailsForProduct)。Gamma/GEXはBlack-76モデルによる推定値(IV 8/10/12%シナリオ、満期日はCME規則からの近似)であり、実測値ではありません。

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