米国株は週明けも下落圧力続くか―中東情勢と原油高が重荷に
足元の状況を踏まえると、S&P500は短期的に下げ圧力が続く可能性が高いと考えられます。戦況の不透明さに加え、投資家心理の冷え込みが顕著であり、週明けの値動きも不安定になりやすい環境です。
こうした見方の背景には、中東での軍事的緊張の長期化があります。イランを巡る戦闘は収束の兆しが乏しく、米軍が地上部隊の派遣を視野に入れているとの報道も出ています。さらに、イラン側による周辺国への攻撃も伝えられており、地域全体で緊張が高まっています。このような状況では、投資家のリスク回避姿勢が強まりやすく、市場全体に重しとなります。
加えて、エネルギー市場の動向も無視できません。原油の主要輸送路であるホルムズ海峡の封鎖懸念が続く中、供給不安が価格を押し上げています。原油先物の指標であるWTIは終値ベースで約3年8か月ぶりの高水準となり、その後の取引では一時101ドル台に乗せる場面もありました。エネルギー価格の上昇は企業コストや消費に波及するため、株式市場にはマイナス要因として働いています。
こうした複合的な要因により、S&P500は27日時点で前日比1.67%安、週次では2.12%安と5週連続の下落となりました。これは2022年春以来の長い下げ局面に匹敵し、年初の高値からは約8.7%の下落となっています。
市場の不安心理を示す指標も上昇しています。シカゴ・オプション取引所が算出するVIX指数は31台まで上昇し、約1年ぶりの高水準に達しました。オプション市場の動きを反映するこの指数は、今後の値動きの荒さへの警戒感が強まっていることを示しています。実際、同指数は20を上回る状態が長く続いており、投資家の緊張感は相当高い水準にあります。
また、指数への影響が大きい大型ハイテク株の軟調も見逃せません。主要IT企業の多くが下落基調にあり、特にSNSや動画配信サービスを巡る裁判で不利な判断が出たことも重なり、複数銘柄で大幅な下げが続いています。いわゆる主要7銘柄の中でも上昇したのはごく一部にとどまり、全体として指数の重荷となっています。
一方で、株価下落には前向きに捉えられる側面もあります。これまで指摘されていた割高感は徐々に解消されつつあり、予想PERは約19倍台と、近年の平均を下回る水準まで低下しています。さらに、企業の利益見通し自体は悪化しておらず、予想EPSは戦闘激化前と比べてもむしろやや上昇しています。そのため、投資家心理が落ち着けば反発に転じる余地も残されています。
ただし、現時点ではその心理改善のきっかけが見えにくいのが実情です。アメリカ大統領は軍事行動の一部延期を表明したものの、市場の反応は限定的であり、発言だけでは安心感につながっていません。むしろ、投資家は実際の情勢改善、特にホルムズ海峡の安定化といった具体的な変化を重視している様子です。
総じて、地政学リスク、原油高、投資家心理の悪化という複数の要因が重なっており、短期的には不安定な相場展開が続く公算が大きいといえます。週明けのS&P500についても、これらの要素が解消されない限り、引き続き下方向への警戒が必要な状況です。


