「米国例外主義の終焉」-米資産離れ続く

「アメリカ例外主義の終わり」を極めて的確なタイミングで予測したストラテジストによりますと、トランプ氏が現在の通商政策を維持する限り、世界中の投資家によるアメリカ資産からの資金移動は、今後数年にわたって続く可能性があるそうです。

ソシエテ・ジェネラルの資産配分責任者であるアラン・ボコブザ氏は、2024年9月まではアメリカ資産に対して強気の姿勢を取っていましたが、その時点で株価の評価に過熱感があると感じたそうで、2025年2月には米国株とドルの保有比率を下げるよう顧客に助言しました。

その後、S&P500指数は15%下落し、ドル指数も約9%下がっています。

ボコブザ氏は、「昨年9月の段階でアメリカ株の評価が危険な水準に達しており、大統領選挙によってこれまでの楽観的な見方が覆される可能性があると、当時から顧客には伝えていました」と話しています。そして、「新しい政権は非常に大きな不確実性をもたらしており、アメリカからの大規模な資金の移動は始まったばかりです。これが数年間続くかもしれません」とも述べました。

アメリカが金融面で持っていた優位性も、ドルや米国債への人気が低下する中で揺らいでいます。今年に入ってからは、アメリカの株式市場は他の国の市場と比べてパフォーマンスが劣っており、その背景には、通商政策や関税が経済成長の妨げとなり、物価上昇を引き起こすとの懸念があるようです。

ボコブザ氏はまた、「長い間、アメリカは成長の見込める数少ない市場の一つでした。米国株は理想的なシナリオを織り込んだ価格になっていて、特にテクノロジー関連株への集中が目立っていました。しかし、いまやそのような銘柄が関税の影響を受けています」と指摘しています。

さらに、「ドルはこれまで過大評価されていた節があり、この是正は通商政策の不透明さが続く限り進行し続けるかもしれません」とも語りました。

「これまでの20~30年の間、リスクを避けたいときにはドルが買われてきました。ドルは“逃避先”とされていたからです。でも今回はそうした動きが見られないのです」とも述べています。

また、「現在、すべてのアメリカ資産に対するリスクプレミアムが上昇しており、それこそが“例外主義の終焉”を示していると思います」と説明しました。

金融政策についても、ボコブザ氏は「今のところは支援を期待できません」と話しています。米連邦準備制度理事会(FRB)はすぐには動かず、「関税の影響が経済成長やインフレに反映される6月ごろまでは様子を見るでしょう」との見方を示しています。

トランプ氏は、FRBのパウエル議長に対して利下げを求めて圧力をかけており、市場では彼が議長を更迭するのではという懸念も広がっているようです。

ボコブザ氏は、「FRBの独立性が脅かされれば、市場の不安定化がさらに進み、アメリカ資産のリスク評価が根本的に変わる可能性があります。それが現実となれば、非常に大きな転換点となるでしょう。私たちはすでに、その瀬戸際に立っているのかもしれません」と語っています。

さらに、「これまで米国資産にばかり目を向けすぎていた結果、ヨーロッパ、日本、中国にも魅力的で割安な企業があることを見落としていた」とも述べていました。

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