米30年債入札に市場参加者が注目【超長期債需要の試金石】

米国で行われる30年物国債の入札に、多くの市場関係者の関心が集まっています。というのも、国債の需要に対する懸念が高まる中で、今回の入札が、投資家が長期の米国債をどのように見ているかを測る重要な機会となるためです。

この30年物国債220億ドル(約3兆2,000億円)の入札は、ニューヨーク時間の午後1時に予定されています。

現在、米議会ではトランプ大統領による減税法案の審議が行われており、この法案が成立すれば、数兆ドル規模の財政赤字がさらに膨らむ可能性があります。そうなれば、政府の借り入れが一段と増加し、国債の発行ペースも加速するという見方が出ています。

加えて、トランプ氏の強硬な貿易政策がインフレ再燃や米国資産に対する海外からの需要低下を招くとの懸念もあり、とくに30年物を含む超長期債は、その影響を大きく受けやすい状況です。

実際、先月の20年物国債の入札では需要の弱さが目立ちました。

ウィズダムツリーの債券戦略責任者であるケビン・フラナガン氏は、「20年債の結果を踏まえると、30年債の入札には一段と注目が集まると思います」と述べています。

米国のインフレ率は、依然として米連邦準備制度(FRB)の目標である2%を上回っており、こうした物価上昇のリスクに対して、超長期債は特に敏感な傾向があります。

このようなリスクを受けて、PIMCOやダブルライン・キャピタルといった資産運用会社は、30年債などの長期債の保有を控え、10年以下の中期債に重点を置く姿勢を取っています。

また、投資家が米国政府に長期間資金を貸すことに慎重になり、より高い利回りを求めるようになっているため、タームプレミアム(長期金利に含まれるリスク分)が拡大しています。

キャピタル・グループの債券ポートフォリオマネジャーであるデービッド・ホーグ氏は、「投資家が市場から撤退していないかどうか、入札を注視しています」と話し、「海外投資家が買いを控えたり、購入ペースを落とすことが、タームプレミアム上昇の一因になっている」と説明しています。

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