ムーディーズが取引時間終了後に米国を格下げ S&P500先物は10分で0.54%急落

アメリカの株式市場では、ここ最近の上昇ムードに水を差す出来事がありました。S\&P500種株価指数は、16日の終値が1週間前と比べて5.27%上昇し、5営業日連続で上昇しました。2月の最高値から3%下の水準まで戻ってきていたのですが、その日の取引終了後、状況が一変しました。格付け会社のムーディーズ・レーティングスがアメリカの信用格付けを1段階引き下げると発表したことで、S\&P500に関連した先物商品がわずか10分ほどで0.5%下落するなど、市場は急落に見舞われました。

2023年8月にも、フィッチ・レーティングスがアメリカ国債の格下げを発表した際にS\&P500は大きく値を下げており、今回も同様の「格下げショック」が株式市場に広がる可能性があります。一方で、アメリカ市場では依然として楽観的な見方も根強く、半導体大手のエヌビディアは1週間で16%以上の上昇を記録するなど、好調な銘柄もあります。ただ、S\&P500は最近の回復で割高感が強まっており、今回の格下げが今後の相場の重しになるとの見方もあります。

また、格下げ発表前の市場では、12日にアメリカと中国が大幅な関税引き下げで合意したことから、楽観的な雰囲気が広がっていました。16日にはトランプ氏がアラブ首長国連邦(UAE)での記者会見で、今後2〜3週間以内に交渉相手国に通知を送り、「米国でビジネスをするには何を支払うことになるのかを伝える」と発言しています。通知の具体的な内容やアメリカ経済への影響はまだ不透明ですが、この発言自体は市場を押し下げる材料にはなりませんでした。

さらに、イギリスの経済紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は16日、関係者の話として「ここ数日、欧州連合(EU)とアメリカが初めて関税交渉に関する文書のやり取りを行った」と報じており、市場ではこれを前向きな動きとして受け止める声もありました。

ただし、S\&P500は急速な反発を見せたことで、割高だと感じる投資家も増えてきています。ブルームバーグによると、16日時点でS\&P500の株価収益率(PER)は22.7倍と、4月21日時点の19.5倍から大きく上昇しています。これは2020年以降の平均である20.7倍を上回っており、株価が過熱気味だと捉える向きもあるようです。こうした背景からも、今回の格下げが市場の先行きに影を落とす要因となる可能性があります。

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