トランプ米大統領の外航就任後の外交姿勢に対して

トランプ米大統領の外交姿勢に対して、各国の反発や不満が次第に高まっているようです。

アメリカの歴代大統領は、誰もが世界を変えられると信じて就任しますが、トランプ氏の場合は、特に自分にはすべてを動かせるという強い自信を持っているようです。

とはいえ、第47代大統領となったトランプ氏の外交は、思うように進んでいない場面も多く見られます。トランプ氏は、大手IT企業を威圧したり、政府の権力を使って大学や裁判官に圧力をかけようとしたこともありましたが、各国のリーダーたちはそう簡単には屈しないようです。

たとえば、ウクライナでの戦争終結に向けたアメリカの姿勢に対して、ロシアのプーチン大統領は強硬な態度を崩さず、トランプ氏を軽んじるような姿勢を取り続けています。ロシアのメディアでは、トランプ氏は威勢のいいことを言っても結局は行動に移せない人物として描かれています。

また、トランプ氏は中国との貿易問題でも、習近平国家主席に圧力をかければ中国は従うと考えていたようですが、実際には中国の体制や外交方針を見誤っていた節があります。中国政府は、アメリカに譲歩することは絶対に避けるべきと考えており、アメリカ側は中国が約束を守らないことに不満を示しています。

同じように、欧州連合(EU)との関税をめぐる交渉でも、トランプ氏は強気の姿勢をとりつつ、最終的には引き下がる形になりました。英国のフィナンシャル・タイムズの記者が「トランプはいつも怖気づく(TACO=Trump Always Chickens Out)」という表現を使って批判したこともありました。

イスラエルのネタニヤフ首相とは考え方が近いと見られていたトランプ氏ですが、中東和平を巡る状況が長期化する中で、ネタニヤフ首相の政治的立場が揺らいでいることに気づき始めています。さらに、トランプ氏が目指すイランとの核合意は、イスラエルが進める軍事的な対応と相容れない部分もあり、足並みが揃っていない様子が見られます。

各国の指導者たちは、それぞれの国益を最優先に考えており、アメリカの大統領の思惑とは必ずしも一致しません。特に、トランプ氏が個人的な関係に訴えかけても、多くの国のリーダーはそれだけで動かされることはないようです。実際、トランプ氏がホワイトハウスでウクライナのゼレンスキー大統領や南アフリカのラマポーザ大統領を軽視するような発言をしたことで、アメリカの魅力は損なわれつつあるとも言われています。

トランプ氏は、選挙期間中からプーチン氏や習氏との「良好な関係」が世界の複雑な問題を一気に解決できると主張していましたが、その考えは現実とはかけ離れていたようです。

とはいえ、こうした楽観的な見方はトランプ氏に限った話ではありません。かつてジョージ・W・ブッシュ元大統領は、ロシアの指導者の目を見て「彼の魂を感じた」と語ったことがありましたし、オバマ元大統領もロシアを過小評価し、「退屈な子ども」と言い放ったことがありました。しかし、その“退屈な子ども”がクリミア半島を併合するなど、現実は予測とは異なりました。

振り返ってみると、21世紀の大統領たちは皆、運命に導かれているかのような振る舞いをしてきました。ブッシュ氏は当初「世界の警察にはならない」としていましたが、2001年の同時多発テロ以降、アフガニスタンやイラクでの戦争に突入し、平和の実現には至りませんでした。オバマ氏もイスラム諸国に向けて「新たな始まり」を訴えましたが、その理想は十分に実現できませんでした。

バイデン前大統領は「アメリカが戻ってきた」と宣言して国際社会に復帰しようとしましたが、自身の再選出馬という判断が米国の国際的立場を再び揺るがせる結果となりました。そして、再びトランプ氏が表舞台に戻ってきました。

トランプ氏の「アメリカ第一主義」は、米国が長年損をしてきたという考えに基づいていますが、同盟国との連携や国際経済への貢献によって、アメリカが世界で最も影響力のある国になったという事実にはあまり触れられていません。トランプ氏は、強硬な態度で他国を従わせようとしつつも、その姿勢は米国の「説得する力」、いわゆるソフトパワーを損なう結果にもつながっています。

大統領に就任して最初の数カ月間で、トランプ氏は関税による圧力や、カナダ・グリーンランドに関する領土的な発言、人道支援の縮小などを行い、アメリカの立場を強調しようとしましたが、それによって各国のリーダーたちは、「アメリカが常に主導権を握るわけではない」と認識し始めているようです。中国、ロシア、イスラエル、欧州、カナダなどの政府は、トランプ氏に強く出られても、それに従う必要はないと判断しているようですし、国内事情によってむしろ反発せざるを得ないという考え方も広まっています。

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