米国債、トランプ関税でも離れず:外国勢保有が過去2番目の高水準

4月の外国人投資家によるアメリカ国債の保有額は、トランプ前大統領が打ち出した広範囲な関税政策によって金融市場が混乱する中でも、過去最高に近い水準を維持していました。

18日にアメリカ財務省が発表した対米証券投資統計によると、外国人によるアメリカ国債の保有額は9兆100億ドル(約1300兆円)となり、前の月と比べて360億ドル減ったものの、これまでで2番目に高い水準となっています。減少した主な理由は、外国の民間投資家が売り越したことですが、政府系の機関投資家は比較的期間の長い国債を買い増していました。

国ごとの動きを見ると、日本とイギリスが保有額を増やす一方で、中国は減らしていました。こうした全体的な保有額の減少は、一部の市場関係者の見立てと一致していたようです。

参考までに、中国によるアメリカ国債の保有額は4月に82億ドル減少し、日本は37億ドル増加しました。

トランプ氏が4月2日に発表した大規模な関税措置をきっかけに、株式市場は大きく値を下げました。こうした不安定な局面では、安全資産とされるアメリカ国債への投資が通常は増えるのですが、今回はその関税政策の影響でアメリカ国債の価格も下落し、同時にドルも大幅に値を下げました。そのため、一時は外国人投資家がアメリカの資産から一斉に資金を引き上げるのではないかという懸念も広がりました。

モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントで債券を担当しているビシャル・カンドゥジャ氏は、この4月の統計に対して「米国から資金が逃げているという見方は少し行き過ぎだ」としたうえで、「ただし今後は、ドルがじわじわと不安定な形で下がっていく可能性がある」との考えを示していました。


【用語解説(初心者向け)】

アメリカ国債:アメリカ政府が資金調達のために発行する債券で、国の信用をもとに返済が保証されているため、世界的に安全資産とされています。
関税政策:輸入品にかける税金のことです。トランプ前大統領は、自国産業を守るために外国製品への関税を強化しました。
政府系機関:各国の中央銀行や政府が管理する投資機関を指し、安定した資産運用を行うのが特徴です。
売り越し・買い越し:売買の結果、売った量が多ければ「売り越し」、買った量が多ければ「買い越し」と言います。
ドル安:ドルの価値が他の通貨に比べて下がることです。これはアメリカの経済や政策への不安などで起こることがあります。

タイトルとURLをコピーしました